理想の会社とは?
みなさんにとって、理想の会社とは、どのような会社でしょうか?
その人の立場により回答は異なりますが、会社の勤め人(社員)が、理想だけを述べると「ワーク・ライフバランスが保てる」、「自己実現できる」、「キャリア形成ができる」「安定して定年まで働ける」、「給料が高い」、「ステータスや知名度が高い(近所のおばちゃんでも知っている企業)」と言った回答が想像されます。
憧れの会社を求めて
私自身、学生時代の会社選定基準は、ネットの影響から『まったり高給』でした。
新卒で入社した会社については、流行りの学生就職ランキングで上位の企業でしたが、内情はネット情報と全く異なり、会社全体が体育会系の激務を賛美する会社でした(社会に出て「百聞は一見に如かず」の言葉の重み知った瞬間でした)。
1社目では体育会系気質に嫌気がさし、3年目にして転職活動を開始して、会社の評判に流されないよう転職エージェントやOBから情報収集した上で、今の会社に転職しました。
今の会社は、情報収集したとおり自分に合う雰囲気を感じられ、長期的に勤務するのには良い会社に巡り合えたと感じています。
がしかし、上手く行ったと思った転職活動でしたが、紆余曲折があり、最も社内で(いろいろな意味で)ブラック職場と言われる人事部勤務となりました。日々長時間の勤務に堪え、役員や社員と制度の間で苦悩して、12年以上が経過しています。
人事では、採用や制度企画、研修、異動配置、労務管理等の人事業務全般を経験して、社員(仲間)の声を聞き、役員の想いを受け、他社の人事担当と幾度もの交流をすることで、日々、考えるようになったのは「理想の人事制度」についてです。
人事制度とは
人事制度とは、一般的には労務管理を含めた社員の賃金・賞与・昇進などの処遇に関する仕組み全般を示します。
業種や規模、所在地を問わず、世界中の全ての会社やそれに類する組織には、必ず人事制度(HR Policy)があります。
会社は組織であり、組織は人で成り立つ以上、そこにいる人の行動規範や原動力となるもの(ルールや仕組み)が必要です。
つまり、あるべき姿の人事制度とは、会社内において社員がパフォーマンスを最大限に発揮できるように構築されるものとなります。
言い換えれば、有価証券報告書や決算短信が会社の財務面での成長や安定性を知るツールであるように、人事制度はその会社で働く社員の生き方や活力、さらに働き心地を知る、『最強の指標』と言えます。
理想の人事制度を求めて
人事制度は、労働の対価として支払われる給与を含む処遇制度、他部署への異動や転勤等を考える配置施策、社員の技術や能力を高める教育施策等と、いずれも社員に直接的に影響するものです。
その意味で、会社にとって人事部門の役割は小さくなく、その会社の人事マンの力量次第では、能力以上の成果を発揮できる組織を作ることもできますし、また、逆に会社が傾く要因となることもあります。
なお、当事者の個人的意見ですが、人事部門が社内で幅を利かせる会社は良い会社とは言えないと思います。あくまでも社員を支える縁の下の力持ちに徹することが重要です。
社員にとっての理想の会社とは?
会社の人事制度を説明する講師役をしていた時などで、社員にとっての「理想の人事制度とは?」と聞くことがあります。
社員のモチベーションを高めるのであれば、全ての声に耳を傾け、是非とも制度に導入したいものです。
しかしながら、理想の人事制度を実現するのに現実は厳しく、山は高く、谷深いのが現状です。
社員の処遇を考える前に、まず人事部では念仏のように「労働条件の不利益変更は全力回避!」と唱えてています。
Step1.まずは会社が社員に期待することを明確化
Step2.次に会社の現状(全体および個々の状況)を把握
Step3.上2つのステップの乖離を確認、社員に求める成果をリスト化
Step4.最後に社員に求める仕事のあり方を明文化して制度に落とし込む