理想の会社とは?
人事制度は会社を知る最強の指標
現役人事部員が本気で考える、社員にとっての理想の会社を探求します!
会社の仕組み

企業タイプ別の採用基準と人事部の採用活動の本質

 採用基準の考え方について

会社の採用基準およびその後の処遇については、会社によって千差万別であり、異なり一概には言えません。

ただし、一般的に言われる傾向として、次の採用基準および処遇の考え方があります。

①人事制度が年功的な賃金体系の会社では

採用基準についてキャリアよりも人物重視の傾向にある。入社後の処遇については、年齢を中心とした自社制度で定めた範囲の±α程度の調整幅で決定される。(メーカー系やインフラ系等)

②成果主義を標榜している会社では

前職キャリアを重視した採用基準を設けており、入社後の処遇については、前職時の賃金(一部、役職も考慮)により決定される。(情報通信、金融、営業主体の会社)

ただし、後述の「結論」に書いていますが、キャリア採用は整員上の理由(欠員補充や組織体制変更)により、採用基準がその時々で変化していくものであり、一律的に不変の採用基準を有している企業はまず間違いなくありません

年功的な会社へのアプローチ

年功的賃金体系の会社の場合、採用活動の時のアピールポイントは「人柄がよく、会社にとって長期的に貢献できる点」である場合が多くあります

加えて、年齢的な上下関係の逆転を許容できないことから、労務構成上の要因で不採用となるケースもあります

また、入社後の処遇についても、社員間の制度の公平性を保つことが重要であり、処遇の交渉をしても無駄な場合が多く、要求される処遇と会社の賃金水準に乖離がある場合は、採用予定部署に理由を説明して不採用とすることがあります。

無論、例外があり、採用予定の部署の求めるニーズが強い場合、もしくは社内でも声の大きい役職者の部署の採用案件の場合、一件審議することで例外適用することがあります。

人事部の上層部が最も言われたくない言葉は、「人事部がビジネスを妨げている」です。

成果主義の会社へのアプローチ

採用基準の多くは、これまでの経験したキャリアとなりますが、求人している業務内容を理解して面接に臨むことが重要となります。

当然!と思われる方が多いと思いますが、意外と出来ていな人が多くいます。

採用募集段階で明確に入社後の業務内容を明示しているにも関わらず、面接時の自身の保有スキルや経験で、募集業務に言及しない回答をされるケースや、募集業務を理解せずに応募されるケースがありますが、面接ではマイナスに働きます

採用面接(特にキャリア採用)は相手のニーズ(意図)を汲んだ回答が必須であり、その前提として募集要項にある業務内容を事前に読んでおく必要があるでしょう。

また、処遇については、現在の年収を正しく伝えた上で、求める処遇をはっきり伝えましょう。

ポイントは①現在の処遇(年収)を正しく伝えること②求める処遇をはっきりと主張すること、となります。

注意点として、①は実際の年収と採用時に伝えられる年収に余りにも多き乖離がある場合、入社後の社会保険料等の等級から、人事部が不審に思うことがありますので、正確に伝えましょう。

また、②について、年収の大幅ジャンプアップを求める場合でも、人事部は人事制度における賃金レンジ内であれば認められますので、入社を希望する会社の給与基準をある程度、正しく理解しておくことが重要です。

ただし、人事部の手の内を明かすと、パフォーマンスが未知数である場合、入社後の1年間は給与を抑えた設定として、1年後に通常の賃金水準を適用することが多くあります

これは、人事部が労務トラブルを回避する目的に加え、他社員のモチベーションも考慮した対応となります。

結論として

人事部で採用活動をしていて言えることは、「採用はタイミングと情報」です。

人事部のあるあるですが、「あの人は○○の時期だから採用した」や「部署からの要請が強く、早くこのポジションを埋めたいから採用」ということが結構あります。

正しいか否か、ではなく現実問題として、採用はタイミングと言えます。また、面接の応対で重要となるのが、その会社の情報を正しく理解していることです。

「自社に合わない」と思われる回答をしないためにも、最低限、ホームページや過去のプレスリリース程度は確認しておくと良いでしょう。

ABOUT ME
かおる
現役の人事部員として、会社の仕組みについて人事制度を通じて分かりやすく説明したいと思います。人生100年時代において、70歳まで働く生涯現役の時代が迎えつつあることを感じています。時代の変革を迎える中で、人事部の仕事から生きる術を探求していきます。